【共依存とは】あなたもその傾向があるかもしれない。共依存への理解とその対応策

共依存は、他人への支援や依存関係に深く関わる状態を指します。

この状態では、個人の自尊心が揺らぎ、依存することでリスクが高まることがあります。

共依存の原因、共依存に陥りやすい人の特徴、そしてそれを克服する方法について考察しましょう。

この記事の目次

共依存の概要

共依存の概念は、アルコール依存症の夫と、その夫を放っておけずに面倒を見る妻の関係から始まったものです。

この関係は次のように説明されます。

アルコール依存症になると、飲酒量や飲酒のタイミングをコントロールできず、仕事や周りの人に悪影響を及ぼすことが増えます。

そのような夫のために、妻が迷惑をかけた人たちに代わって謝罪をしたり、夫の依存症を隠して世話をすることで、夫は自分の問題に対しての責任感を感じなくなります。

このような状況では、夫がアルコールをやめることが難しくなります。

妻は夫から必要とされることで自分の価値を見出し、依存症の夫の世話から抜け出せなくなります。

かつてはアルコール依存症の夫と世話をする妻の関係が共依存とされていましたが、この関係はアルコール依存症や夫婦関係だけではなく、他の関係でも問題となることが分かりました。

現在では、共依存は「他人への依存を基にした相互依存の状態」と広く認識されています。

夫婦だけでなく、恋愛関係、親子関係(特に母と娘)、友人関係、職場の関係(特に医療や介護現場)でも共依存の傾向が見られます。

共依存の原因

共依存が生じる主な理由の一つに、自尊心の低さが挙げられます。

他人の世話を焼くことに夢中になり、他人をコントロールしようとする行動は、これまで得られなかった自分の価値をそこに見出そうとするからです。

犠牲者の立場を保ちながらも、実際には相手から離れることが可能であるにもかかわらず、そうしないのが共依存の特徴です。

また、共アルコール依存症のように、共依存関係では他人からの頼りにされることが一般的です。

恋愛関係、夫婦関係、親子関係、職場における共依存の具体的な状況を見ていきましょう。

恋愛・夫婦間での共依存

恋愛や夫婦間で見られる共依存には、以下のような事例があります。

  • 自立していない恋人に過度に世話を焼いたり、お金を与える行為
  • ギャンブル依存症のパートナーの借金を肩代わりすること

これらの行動は助けになっているように見えますが、次のような悪循環を生み出します。

  • 依存されることで相手が自立する必要がなくなる
  • 借金の負担が減ることで、さらにギャンブルに依存しやすくなる

この状況は、相手に自分を必要とさせ、自分の価値を感じやすくなります。

親子関係での共依存

親子間の共依存関係には、次のような事例があります。

  • 過保護や過干渉の親が子供の行動を完全にコントロールするため、子供は自分で物事を考える能力を育てられず、自立が難しくなる
  • 親が自分の不満を子供に話して慰めを求めることが多いため、子供が親から離れにくくなる

このような共依存関係にある子供は、親に喜んでもらうことで自己の価値を見出す傾向があり、これが子供のアイデンティティ(自分らしさ)の形成に悪影響を与える可能性があります。

職場での共依存関係

「対人支援業務」に従事する人と、その支援を受ける人の間では、共依存関係が生じやすいことがあります。

この傾向は、医療や介護の分野で特に顕著です。

例えば、介護対象者が自分でできる日常活動(例えば着替えや食事)に対して、支援者が必要以上に関与するケースがあります。

このような関係は、受ける側の自立を妨げるだけでなく、提供する側にも過大な負担をもたらし、精神的及び身体的な問題のリスクを高めます。

共依存に陥りやすい人の特徴

拒絶されることへの恐れ

他人から拒絶されたり見捨てられたりすることへの過度な恐怖を持つ人は、共依存関係を形成しやすいです。

特に虐待や無視を受けた過去がある人は、他者(例えば親)に見捨てられることへの深い恐怖を持つことが多いです。

未発達の自尊心

幼少期に親からの受け入れを得られなかった人は、自尊心が育ちにくい傾向があります。

虐待やネグレクト、過度に厳しい家庭環境、あまり褒められない環境は、子供の自尊心の発達に悪影響を与えます。

このような背景を持つ人は、大人になっても自己評価が低く、共依存関係に陥りやすいです。

世話焼き気質

他人の世話をすることに積極的な人は、その行為によって更なる努力をする動機を得ることがありますが、自分自身のニーズを犠牲にすることで共依存関係に陥ることがあります。

他者への過度な責任感

他人の問題に対して自己に責任を感じすぎる人も、共依存を形成しやすいです。

「相手が苦しんでいるのは自分の助けが不足しているせい」と思い込み、自分自身で問題を解決しようとする人がこの傾向に当てはまります。

誰にも相談できない状況

誰にも相談せずに個人的な悩みを抱え込む人は、一人で問題を解決しようとし、結果として共依存関係に陥ることがあります。

また、その状態の問題点を指摘する人がいないため、共依存のリスクに気づきにくい傾向があります。

共依存を解決する方法

共依存から抜け出すためには、まずは自分たちの関係がもたらす悪影響を理解することが大切です。

以下のような解決策が有効です。

  • 相手が依存症の場合、専門医療機関に連絡する
  • 少しずつ相手への支援を減らすか、距離を取る
  • 趣味や新しい話し相手を見つけて自分自身を見つめ直す
  • 自分の感情を表現する練習をする

依存症を持つ人へのサポートでは、場合によっては厳しい対応が必要です。

趣味に没頭したり、友人とのコミュニケーションを通じて、自己評価を向上させることができます。

ただし、幼少期の経験が自尊心の低さやアイデンティティの喪失に関係している場合、より深刻な問題となることがあります。


カウンセリングでは、カウンセラーとの対話を通じて自分自身のアイデンティティや価値観を再発見する支援を受けることが可能です。


共依存に陥った状況を改善し、対応策を一緒に考えることもできます。

まとめ:共依存って怖いな…と思った人へ

共依存は、他人に依存し、自己犠牲を伴う状態を指します。

これを克服するには、自分と他者との関係性を理解し、外部からのサポートを受け入れることが重要です。

共依存の重要な点は次のとおりです。

  • 自尊心の低さが共依存の原因。
  • 医療・介護、恋愛、夫婦、親子で共依存が多い。
  • 問題認識して専門医療機関に連絡も。
  • 相手への支援を段階的に減少。
  • 趣味や新しい話し相手を探す。
  • 幼少期問題にはカウンセリングが有効。

共依存はさまざまな形で存在し、各々の状況に合わせた適切な対処が必要です。

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この記事を書いた人

カウンセリング、リーディング、ヒーリング
薬剤師(漢方・薬膳に精通)

昭和39年生まれ、一男二女の母。
第一子のアトピーをきっかけに桶谷式母乳育児、栄養学、食育を学ぶ。
第三子の妊娠・出産・育児期は夫婦関係や健康にトラブルが続き心身共につらい日々が続いたので、心と体の回復を目指して漢方と心理学を学んだ。

その学びを深めていく中で、バーストラウマやインナーチャイルド、感情などの心の問題に向き合うことで状況を克服。
今では心と感情の専門家として、サービス提供をしている。

ミッションは、生きづらさを感じている方の心が軽くなり、日常の幸せに気づき、自分らしさを取り戻した人を増やすこと。

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