【感情がない】と感じるあなたへ。ストレスが引き起こす感情喪失とその対応策

「最近、感情が薄れてきたかもしれない」と思うとき、それは強いストレスの影響かもしれません。感情を取り戻すためには、ストレスを軽減するか、心理的な問題に対処することが重要です。

本記事では、ストレスによって感情が失われる理由、その特徴、関連する可能性のある心の問題やストレス軽減の方法について説明します。

この記事の目次

感情の喪失、ストレスが一因?

  • 最近、自分の感情が鈍感になっているような感じ
  • 友人に感情が希薄だと指摘されることが多い

これらは、過度のストレスやプレッシャーが原因かもしれません。

ストレスを感じると、集中力が低下し、何事にもやる気が起きなくなることがあります。

結果として、感情が鈍くなったり、感情を表現するのが難しくなったりすることがあります。

感情を失う人の特性

感情が薄れてしまう人には、次のような特徴が見られます。

  • 幼少期にトラウマを経験している
  • 過去に大きなショックを受けた経験がある

共通しているのは、過去のストレスやショックによって、自己防衛のために感情を抑え込んでいる点です。

特に、真面目で責任感が強い人や忍耐強い人にこの傾向が見られます。

この記事では、感情が失われる人の2つの特性について詳しく掘り下げます。

幼少期のトラウマ

幼少期に虐待を受けたり、親からの愛情を感じられずに育った人は、幼いころのトラウマによって感情を抑える傾向が強いと言われます。

幼少期に経験した恐怖や不安、ショックをそのままに成長し、徐々に感情を表すのが難しくなります。

また、感情に基づいて行動することも困難になり、理性的な行動を取ることが増えます。

この結果、感情の反応が鈍くなり、感情を表すことにも苦手意識を持つようになります。

重大なトラウマの経験

過去に深刻なトラウマを経験し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になることで、感情が鈍化する場合があります。

PTSDは、トラウマになる圧倒的な出来事(外傷的出来事)を経験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応をいいます。

この症状の一つとして、感情が麻痺することがあります。

喜びや満足感が感じられなくなる、自分の感情が自己のものでないかのように思えるなどの症状があり、結果として感情が鈍くなったり、表現が困難になったりします。

感情喪失が考えられる疾患

長期的なストレスやショックが原因で精神疾患になることがあるため、感情喪失はその兆候かもしれません。

感情喪失が示唆する可能性のある疾患は次の通りです。

  • うつ病
  • 失感情症(アレキシサイミア)
  • 統合失調症
  • 離人症・現実感消失症

以下では、これらの病気の特徴や症状、影響を受けやすい人の特徴について詳述します。

うつ病

うつ病は、心理的または身体的ストレスの影響で脳の機能が低下する病気です。

長引く抑うつ状態により、活力が失われ、仕事や日常生活に支障をきたすことがあります。食欲の低下や睡眠障害などの身体的症状も現れることがあります。

うつ病の特徴と症状

うつ病には、主に抑うつ状態のみを経験する大うつ病性障害と、抑うつと躁状態が交互に現れる双極性障害の二種類があります。

どちらの場合も、抑うつ期には活力の欠如や感情の喪失が顕著です。

うつ病の主な症状には次のようなものがあります。

  • 深い憂鬱や落胆
  • 以前好きだった活動への興味喪失
  • 常に悲観的な考え
  • 食欲不振
  • 不眠症または過度の睡眠
  • 持続的な疲労感
  • 頭痛や肩凝り
  • 動悸やめまい

うつ病になりやすい人の特性

うつ病を発症しやすい人の特徴は以下の通りです。

  • 責任感が強く、真面目
  • 完璧主義者
  • 他人の評価を重視する

細かいことにこだわり、他人の要望を断りにくい完璧主義者は、ストレスを多く抱えがちです。

抑うつ状態が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があり、専門の医療機関での診断と治療が推奨されます。

失感情症(アレキシサイミア)

失感情症(アレキシサイミア)は、感情自体は存在するものの、それを適切に表現したり、自分の感情を理解したりすることが難しい状態を指します。

この障害は心理的及び身体的な問題を引き起こすことがあり、うつ病や統合失調症などの他の精神的障害を促進することもあるとされています。

失感情症の特徴と症状

失感情症は、主にストレスが原因で発生することが多く、また、生まれつきこの障害になりやすい傾向がある人もいます。

この障害の主な症状は以下の通りです。

  • 感情の表出に苦手意識がある
  • 自身の感情を他人に伝えるのが困難
  • ストレスによる身体的不調が頻発する
  • 食事に依存したり、摂食障害に類似した症状を示す

失感情症の患者は、感情の表現や伝達が難しくなるため、対人関係に問題を抱えることがあります。

また、感情を発散できないためにストレスが体調不良として現れたり、食事の摂取量がコントロールできなくなるなどの問題も生じることがあります。

失感情症の発症リスクが高い人

失感情症になりやすい人の特徴は以下の通りです。

  • 幼少期に虐待を受けた経験がある
  • 緊張や不安を感じやすい
  • ストレスを溜め込みがち

統合失調症

統合失調症は、幻覚や幻聴、妄想など、多様な症状が現れる精神疾患です。

この疾患の「陰性症状」に、感情の動きの鈍さや感情表現の困難さがあります。

統合失調症の特徴と症状

統合失調症の症状は、以下の4つのカテゴリに分類されます。

<陽性症状>

幻覚
幻聴
妄想

<陰性症状>

感情表現の貧困
他人との交流への無関心
意欲の欠如
話す量の減少

<解体症状>

まとまりのない思考
奇妙な行動

<認知障害>

集中力や記憶力の欠如が日常生活に影響を与える

統合失調症のリスク要因

統合失調症の発症リスクが高いとされる人の特徴には、以下のようなものがあります。

  • 内向的で控えめ
  • 神経が細やかで繊細
  • ストレスに対して耐性が低く、感情が傷つきやすい
  • 人とのコミュニケーションが苦手

また、遺伝的な要因により統合失調症を発症しやすい傾向にある人も存在するとされています。

離人感・現実感消失症

離人感・現実感消失症は、自分の心や体が自分自身のものでないように感じたり、現実から切り離されたような感覚を経験する病気です。

この障害は、激しいストレスや精神的ショック、他の精神障害や身体的な病気が引き金となって発症することがあります。

離人感・現実感消失症の特徴と症状

離人感・現実感消失症の症状は個人差が大きく、一時的なものから数年にわたるものまで様々です。

また、離人感と現実感消失感の両方の症状がある場合もあれば、片方だけが現れる場合もあります。

離人感・現実感消失症の症状は以下の通りです。

<離人感>

自分の心や体が自分のものではないと感じる
自分の行動を自分でコントロールできない感覚
まるでロボットのような感覚

<現実感消失>

自分が周囲の世界から隔離されているような感覚
物体や音が実際と異なる大きさや音量に感じられる
時間の流れが現実とは異なって感じられる

離人感・現実感消失症の発症要因

離人感・現実感消失症になりやすい人は、以前に強いストレスを経験した人です。

具体的な特徴には以下のようなものがあります。

  • 幼少期に身体的または心理的虐待を経験した
  • 家庭内暴力を目撃した
  • 親しい人の突然の死
  • 職場や財政面での重大なストレス

感情喪失時のストレス解消法

感情が鈍くなった時に試すべきストレス解消法は以下の通りです。

  • 十分な休息をとる
  • 食生活を改善する
  • 定期的に運動をする
  • 信頼できる人に相談する

これらの方法を試しても感情の回復が見られない場合は、専門の医療機関を受診することが重要です。

早期の治療により、より迅速な回復が期待されます。

適切な休養を取る

適切な休養を確保することは、ストレスを大幅に緩和することに役立ちます。

充分な睡眠を取り、日々のストレスや圧力から回復する時間を持つことが重要です。
適切な休息により、自然と活力が戻り、感情が再び豊かになる可能性があります。

質の良い睡眠を得るためには、以下の方法が効果的です。

  • 寝る2~3時間前には入浴を終える
  • 就寝前にブルーライトを避ける
  • 朝に日光を浴びて体内時計を整える

就寝前の適度な入浴は、寝付きを良くするのに役立ちます。

また、スマートフォンやパソコンの使用を就寝直前まで控え、寝る前には照明を暗くすることで、より快適な睡眠を得られます。

朝に日光を浴びることで、体内時計がリセットされ、一日を爽快にスタートできます。

食習慣の改善

食生活は心理的な健康に大きく影響します。
栄養バランスが整った、心身に良い食事を意識することが推奨されます。

特に、以下の栄養素を意識して摂取することで、メンタルヘルスの改善が期待できます。

  • ビタミン
  • ミネラル
  • アミノ酸
  • DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸

ビタミンやミネラルの不足は、うつ病と関連があるとされています。
バランス良く野菜、肉、魚、豆類を食べ、これらの栄養素を摂ることが重要です。

アミノ酸は、セロトニンやドーパミンなど脳内の神経伝達物質を生成する際に不可欠です。これらのアミノ酸は、タンパク質を通じて摂取されます。

また、DHAやEPAといった脂肪酸には、神経を保護し、体内炎症を緩和する効果があり、特に魚に豊富に含まれています。
このため、魚を食べる機会を増やすことも、健康的な食生活に役立ちます。

適切な運動を行う

適切な運動を行うことは、ストレスの緩和や体調の向上に役立ちます。
運動をすることで、気分がリフレッシュされ、ストレスが軽減される効果があります。

さらに、運動は血流を改善し、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
これにより全体的な身体の調子が良くなり、良質な睡眠を促進する効果もあります。

毎日激しい運動をする必要はありません。
週に一度の1時間程度の運動でも健康に良い影響を与えるとされています。

日常生活に無理なく取り入れられるウォーキング、ジョギング、ストレッチなどの軽い運動から始めることをお勧めします。

相談することの重要性

困難な気持ちを一人で抱え込まず、誰かに相談することは精神的な負担を軽減するのに役立ちます。

自分の感情を口に出すこと自体がストレスの軽減につながるとされ、「カタルシス効果」とも呼ばれています。

ただし、家族や友人に相談することが難しい場合もあります。

そんな時は専門家であるカウンセラーの支援を受けることが良い選択です。

カウンセラーは、相談者の話に共感し、理解を深めながら話を聞いてくれます。
気持ちを発散したい時や、心の整理が必要な時に、カウンセラーは大きな支えとなり得ます。

感情がなくなった際のカウンセリングの活用

感情が薄れてきたと感じる時、それは深刻なストレスが原因かもしれません。
このような状態では、感情の感覚が鈍くなったり、感情を表現するのが難しくなったりすることがあります。

感情がなくなったと感じた場合、最初に試みるべきはストレスの軽減です。

それでも状況が改善しない場合、何らかの健康問題が潜んでいる可能性があり、医療機関の受診をおすすめします。

ストレスが原因で感情が鈍くなっているときは、カウンセリングの利用が効果的です。
知り合いに話すことが難しい問題も、カウンセラーには気兼ねなく相談できます。

感情が鈍化したと感じたら、カウンセリングを受けてみることを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ:最近、感情が乏しくなったと感じる人へ

感情の喪失はストレスや精神疾患の兆候であり、以下の方法で改善が見込めます。

  • 十分な休息:質の良い睡眠で心身の回復を促進。
  • 栄養バランスの良い食事:心の健康を支える。
  • 適度な運動:ストレス軽減と身体的健康の向上。
  • 誰かに話す:カウンセラーなどへの相談で心の整理。

これらの対策にも関わらず感情が戻らない場合は、専門の医療機関での診断が重要です。

早期の治療やカウンセリングによって、感情を取り戻し、状態の改善が期待できます。

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この記事を書いた人

感情カウンセリング
ヒーリング&リーディング
漢方薬剤師

大学卒業後、製薬会社の学術部で社員教育と医療関係者への情報提供に携わり、その後、整形外科病院で薬剤師として勤務、退職。
現在は、もっと元気にもっと自由になりたい方向けに感情カウンセリングを提供している。

昭和39年生まれ、一男二女の母。
第一子のアトピーをきっかけに桶谷式母乳育児、栄養学、食育を学ぶ。
第三子の妊娠・出産・育児期は夫婦関係や健康にトラブルが続き心身共につらい日々が続いたので、心と体の回復を目指して漢方と心理学を学んだ。

その学びを深めていく中で、バーストラウマやインナーチャイルド、感情などの心の問題に向き合うことで状況を克服。
今では笑顔を取り戻し、日々軽やかに過ごしている。

セッションでは、生きづらさを感じている方の心が軽くなり、日常の幸せに気づき、自分らしさを取り戻していただけるように心掛けている。

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