漢方や薬膳には陰陽五行説という基本的な考え方があります。
これは体や食べ物だけでなく、感情と体の関係についても教えてくれます。
ストレスが健康に悪いことはみんなが知っています。ストレスを感じると、何か感情が湧き出てきます。
漢方・薬膳の基本理論である陰陽五行説によると、五臓はそれぞれ特定の感情と関連しています。臓器が不調になると、その感情が現れやすくなります。
逆に、感情を抑え込んで心に溜め込むと、その臓器が不調になることがあります。
例えば、怒りは肝と深く関わっています。怒りを持ち続ける人は肝を傷めやすく、肝が不調だとイライラしたり怒りっぽくなったりします。
この記事では、感情と臓器の関係や感情カウンセリングの可能性について紹介します。
陰陽五行説とは?
陰陽五行説は、古代中国の哲学で、「陰」と「陽」の変化と、「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素のはたらきから宇宙の成り立ちを説明します。
この考え方は体のはたらきにも応用され、五臓と感情の関係を理解する上で重要です。
五臓と感情の関係
「五臓六腑」という言葉を聞いたことはありますか?
五臓は心、肝、脾、肺、腎で、六腑は小腸、胆、胃、大腸、膀胱、三焦です。
臓腑と感情は密接に関係しており、過剰なストレスや無意識の感情の抑制は臓器の不調を引き起こす原因となります。
漢方や薬膳では、感情を7つに分けます。
これを七情(しちじょう)と言います。
それは、怒(ど)、喜(き)、思(し)、憂(ゆう)、悲(ひ)、恐(きょう)、驚(きょう)です。
五臓:心、肝、脾、肺、腎
六腑:小腸、胆、胃、大腸、膀胱、三焦
七情:怒(ど)、喜(き)、思(し)、憂(ゆう)、悲(ひ)、恐(きょう)、驚(きょう)
五臓に七情を当てはめると次のようになります。
肝と「怒(ど)」
肝(かん)は怒りと深く関連しています。
西洋医学では、自律神経系に関係しています。
怒りすぎると、気が高まりすぎて肝を傷つけ、イライラや目の充血などの症状が現れます。
また、肝が弱いとイライラして怒りやすくなります。
怒りの感情をコントロールするには、リラックス技術や適度な運動が効果的です。
心と「喜(き)」
心(しん)は喜びと結びついています。
西洋医学では、循環器系、脳の機能に関係しています。
喜びは誰にとっても好ましい感情に思われますが、喜びが強すぎると心に負担がかかり、不安定な精神状態を引き起こすことがあります。
また、心が傷つくと、精神が不安定になります。
喜びの感情を適度に保つためには、心を落ち着かせる瞑想や呼吸法が有効です。
脾と「思(し)」
脾(ひ)は考えすぎや思い悩むことと関連しています。
西洋医学では、消化器系に関係してます。
考えすぎると気が固まります。
また、脾が弱ると些細なことで悩んだり、頑固になったりします。
思い悩みを減らすためには、バランスの取れた食事と十分な休息が重要です。
肺と「憂(ゆう)、悲(ひ)」
肺(はい)は憂いや悲しみと結びついています。
西洋医学では、呼吸器系と関係しています。
深い悲しみを長く抱えると、気が沈んで憂鬱になります。
また、肺が弱いと、呼吸が浅くなり、気分が沈みやすくなります。
悲しみを和らげるためには、自然の中で深呼吸をすることや、創造的な活動に取り組むことが効果的です。
腎と「恐(きょう)、驚(きょう)」
腎(じん)は恐れや驚きと関連しています。
西洋医学では、生殖器系、ホルモン系と関係しています。
恐れや驚きは気を乱し、腎を傷つけます。
また、腎が弱いと、些細なことでも不安に感じやすくなります。
恐れを克服するには、十分な休息とストレス管理が必要です。
感情のエネルギーが固まると「気」が滞る
漢方や薬膳では、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」から健康状態を説明することがあります。
「気」は、目には見えないけれど私たちの身体を流れています。
感情がたまり込むと、感情のエネルギーはだんだん固まってほぐれにくくなります。
そうすると「気」の流れにも影響が出てきます。
「気」の流れの不調は、体の不調につながっていきます。
感情をため込めずクリアリングしていくことは、ストレスを減らし、健康を保つ鍵になります。
- リチャード・バーガー著(2000年)
バイブレーショナル・メディスン いのちを癒す〈エネルギー医学〉の全体像
日本教文社 - 谷 孝祐著(2014年)
感情の取扱説明書
みらいパブリッシング
感情を整えるためのアプローチ
健康を保つ上で、陰陽のバランスを保つことはとても大切です。
例えば、次のように。
しんどいなと思ったら少ししんどさを緩める。
緩み過ぎたなと思ったら少し引き締める。
健康の秘訣は、何事もバランスを取っていくことです。
感情も同じです。
西洋医学でもストレスケアは重視されていて、食事、運動、休息などの生活習慣を意識しますね。
ところが、自分の感情をどうして良いのかわからないのが人がほとんどです。
なぜなら、感情の扱い方は、親からも先生からも教わっていないし、教えてくれる所もありませんでした。
近年、心理学が身近になって、ようやく感情の扱いに目が向けられています。
次に、ため込んで重くなった感情を軽くしていく方法を3つ紹介します。
漢方、薬膳
臓腑が健康に向かうと、感情も自然と穏かになっていきます。漢方や薬膳は、体の気・血・水、陰陽のバランスを調整することに焦点を当てています。
体内の不調和を修正し、心身のバランスを回復することで、結果、感情を穏やかにします。
例えば、気の滞りを解消する食材を使った薬膳は、ストレスや不安を軽減し、感情の安定化を促します。
日常生活に取り入れれば心身ともに健康へと向かうことでしょう。
また、そのような漢方薬もあるので、うまく組み合わせていきたいものです。
腹式呼吸と瞑想
腹式呼吸と瞑想は感情のクリアリングに効果的です。腹式呼吸はリラックス効果を促進し、心身の緊張を解放し、感情の安定化をサポートします。
瞑想は雑念を手放し、心を落ち着かせ、ストレスを軽減します。感情的なバランスを整えることができます。
これらの技術を日常生活に取り入れ、日々の感情ケアに役立てましょう。
感情カウンセリング
感情が臓腑の健康に関わっていることを陰陽五行説から説明してきました。
自分の感情を理解し、感じたり、表現したりすることで、臓器にかかるストレスを軽減できると考えられます。
確かに、ストレスを抱えるとやる気がなくなったり、体が重く感じられたり、健康状態は良くなくなります。友だちに愚痴ったり、思いっきり泣いてみたり、感情を吐き出すとスッキリとし、元気になる体験はどなたにもあるでしょう。
感情カウンセリングでは、熟練した感情の専門家がカウンセリングをします。
相談者が悩みや今感じていることを話す中で、たまり込んだ感情が自然にクリアリングされるようサポートをします。
感情に振り回されてどうしようもない場合は特におすすめです。
まとめ:感情カウンセリングの可能性
五臓六腑と感情は対応関係があることを説明してきました。
元気な五臓六腑をつくり、感情のクリアリングを進めれば、体も心も今よりもっと健康になるのではないでしょうか。
漢方・薬膳、腹式呼吸・瞑想、感情カウンセリングを組み合わせていくことを提案します。特に感情カウンセリングはトレーニングされた技法を用います。一度体験してみてください。
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